歩けない以外は全く健康な眞人にとっては、退屈な毎日だった。将来の不安と退屈さの中で唯一の楽しみは「回診」と姉が呼ぶ性的行為だった。それはある時はセックスであり、ある時は眞人の自慰を姉が補助することであり、じっと姉の自慰を眞人が観察することだった。
眞人の記憶では姉はおとなしい生真面目で、このようなことをするような性格ではなかった。それにそれほど、仲が良いわけでもなかったと思った。決して仲が悪いわけではなかったが、どちらかというと没交渉という感じだった。生真面目で両親のいうことをよくきく姉は、眞人にとってなんとなくけむたい存在だった。それが、なぜ・・・
眞人はヒマな時に、ネットなどでコリオリについて調べてみた。しかし、珍しい奇病という以外には、ちゃんとした説明がなかった。そのかわりに、都市伝説的な怖い話しは、いやというほどたくさんあった。
いわく、つま先からじょじょに全身が動かなくなるとか、激しい痛みで発狂する患者が続出とか、あまりに珍しい病気のため一生実験台として病院から出してもらえないとか、とにかくひどい話のオンパレードだった。いい加減な話しが多かったので、眞人はうんざりして読むのをやめた。
気になるのはコリオリの姿そのものの画像がまったくなかったことだった。はっきりした記録はないのだが、過去にこの病気で死んだ人間はいないようで、完治した例も少なくない。ということは、病気の原因となっているコリオリが身体から取り出された写真があってもよいのではないかと思った。せめて特徴を書いた文章があってもよさそうなものだ。眞人は不思議に思った。大きさすらもわからなかった。小さなサイズで寄生虫のように身体の中に寄生しているようなものなのか、それとももっと小さなウィルスとか病原菌とか、どういった類のものなのか、それすらわからなかった。
− もしかしたら、寄生虫どころかもっと大きなものなのかも知れない −
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眞人は巨大な昆虫の姿を想像してぞっとした。巨大なハチのような昆虫に尻尾の針を突き刺されて卵を産み付けられるなんて、ぞっとする話しだと思った。
やがて、入院してから数ヶ月が過ぎた。一向に病状はよくならなかった。しかし、悪くもならなかった歩けないということと、歩くことに対してのなんともいえない不安定感のようなもの以外は全く異常がなかった。眞人はぼんやりした不安を抱きながらもしかたなく、毎日、同じようにリハビリを続け、姉と性的行為を行っていた。
不思議なことに姉との行為にあきることはなかった。姉があらわれると眞人は異常に興奮して、勃起した。そして、性的行為は短時間で終了した。
眞人にはじょじょに曜日とか日にちの感覚がなくなってきた。毎日おなじことを続けているのだから仕方がない。つらいと思えばある意味、拷問のようなつらい日々かも知れなかったが、眞人は天国のように感じていた。このままリハビリと姉との性的行為以外なにもしないで一生を終えるのも、それはそれで幸せかも知れないと思ったりした。
しかし、姉が大学生の間は毎日、看病に来てくれるが、姉が就職してしまえばこのような関係は続けられないだろう。いや、姉に恋人ができても同じことだろう。眞人は時々、姉のことを考えた。
ある日、とうとう姉がしばらくもう来られないといった。眞人がおそれつつも予想していた時だった。理由はいわなかったし、眞人も聞かなかった。姉は眞人にくちづけした。そういえば姉と唇を交わすのははじめてだと眞人は思った。姉は眞人の舌を強く吸った。眞人は魂を吸い取られるように気分になって気が遠くなった。
「気がついたかい?」
心配そうな両親の顔が眞人の正面にあった。
眞人はとっさに事態を飲み込めなかった。
「これで1週間くらい”失歩”の症状があらわれなければ大丈夫でしょう」
いつもリハビリにつきそってくれていた医師がたんたんとした声でいった。
「ほっとしたぜ」
そういって眞人の手を握っていたのは、眞人の兄だった。
眞人は、すべてを悟った。
− オレには姉さんなんかいなかった −
「過去の症例だと、数日間は記憶の混濁があるみたいですので、ご家族の方が精神的な支えになってあげてください。」
医師はたんたんと続けた。
眞人はどこまでが姉の顔をはっきりと思い出すことができた。その顔はどこかで見た顔だった。どこで見た顔だったのか・・・
< 続 く >
眞人の記憶では姉はおとなしい生真面目で、このようなことをするような性格ではなかった。それにそれほど、仲が良いわけでもなかったと思った。決して仲が悪いわけではなかったが、どちらかというと没交渉という感じだった。生真面目で両親のいうことをよくきく姉は、眞人にとってなんとなくけむたい存在だった。それが、なぜ・・・
眞人はヒマな時に、ネットなどでコリオリについて調べてみた。しかし、珍しい奇病という以外には、ちゃんとした説明がなかった。そのかわりに、都市伝説的な怖い話しは、いやというほどたくさんあった。
いわく、つま先からじょじょに全身が動かなくなるとか、激しい痛みで発狂する患者が続出とか、あまりに珍しい病気のため一生実験台として病院から出してもらえないとか、とにかくひどい話のオンパレードだった。いい加減な話しが多かったので、眞人はうんざりして読むのをやめた。
気になるのはコリオリの姿そのものの画像がまったくなかったことだった。はっきりした記録はないのだが、過去にこの病気で死んだ人間はいないようで、完治した例も少なくない。ということは、病気の原因となっているコリオリが身体から取り出された写真があってもよいのではないかと思った。せめて特徴を書いた文章があってもよさそうなものだ。眞人は不思議に思った。大きさすらもわからなかった。小さなサイズで寄生虫のように身体の中に寄生しているようなものなのか、それとももっと小さなウィルスとか病原菌とか、どういった類のものなのか、それすらわからなかった。
− もしかしたら、寄生虫どころかもっと大きなものなのかも知れない −
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眞人は巨大な昆虫の姿を想像してぞっとした。巨大なハチのような昆虫に尻尾の針を突き刺されて卵を産み付けられるなんて、ぞっとする話しだと思った。
やがて、入院してから数ヶ月が過ぎた。一向に病状はよくならなかった。しかし、悪くもならなかった歩けないということと、歩くことに対してのなんともいえない不安定感のようなもの以外は全く異常がなかった。眞人はぼんやりした不安を抱きながらもしかたなく、毎日、同じようにリハビリを続け、姉と性的行為を行っていた。
不思議なことに姉との行為にあきることはなかった。姉があらわれると眞人は異常に興奮して、勃起した。そして、性的行為は短時間で終了した。
眞人にはじょじょに曜日とか日にちの感覚がなくなってきた。毎日おなじことを続けているのだから仕方がない。つらいと思えばある意味、拷問のようなつらい日々かも知れなかったが、眞人は天国のように感じていた。このままリハビリと姉との性的行為以外なにもしないで一生を終えるのも、それはそれで幸せかも知れないと思ったりした。
しかし、姉が大学生の間は毎日、看病に来てくれるが、姉が就職してしまえばこのような関係は続けられないだろう。いや、姉に恋人ができても同じことだろう。眞人は時々、姉のことを考えた。
ある日、とうとう姉がしばらくもう来られないといった。眞人がおそれつつも予想していた時だった。理由はいわなかったし、眞人も聞かなかった。姉は眞人にくちづけした。そういえば姉と唇を交わすのははじめてだと眞人は思った。姉は眞人の舌を強く吸った。眞人は魂を吸い取られるように気分になって気が遠くなった。
「気がついたかい?」
心配そうな両親の顔が眞人の正面にあった。
眞人はとっさに事態を飲み込めなかった。
「これで1週間くらい”失歩”の症状があらわれなければ大丈夫でしょう」
いつもリハビリにつきそってくれていた医師がたんたんとした声でいった。
「ほっとしたぜ」
そういって眞人の手を握っていたのは、眞人の兄だった。
眞人は、すべてを悟った。
− オレには姉さんなんかいなかった −
「過去の症例だと、数日間は記憶の混濁があるみたいですので、ご家族の方が精神的な支えになってあげてください。」
医師はたんたんと続けた。
眞人はどこまでが姉の顔をはっきりと思い出すことができた。その顔はどこかで見た顔だった。どこで見た顔だったのか・・・
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