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ミステリー・オリンピック 1
 めざめるとあたしは、ゲーセンの台によだれをたらしていた。指につけて、ねちょねちょしてみたが、よだれに間違いない。
 だれかと、一晩だけのアバンチュールでじゅるじゅるラブジュ−スをたらしたわけではないようである。少しだけ自分の身持ちのよさに感動しつつ、立ち上がると、回りには、何人も裸の男の子が寝ていた。
 あたしは、淫蕩な匂いを感じて、驚天動地のマッハダッシュで店を飛び出した。走っていると、腿にぬるぬるしたものがたれてくるのを感じた。
−しまったミニスカートにするんじゃなかった−
 と思っても、とまらない。ノーパンのあたしの腿には、ぬるぬるしたザーメンがたれてきている。ああ、もうちょっとで外から見えるようになってしまう。
 あたしが、猛ダッシュで走りつつも困り果てていると、頭に茶色のきんたまの形の帽子をのせた初老の男がナンパしてきた。
「のれよ」
 あたしは、貞操の危機を感じつつも、ついついきんたま帽子の車に乗り込んでしまう。
「ふけよ」
 きんたま帽子は、あたしにティッシュをおしつけた。あたしは、昨日、こいつともやったかもしんない。
 きんまた帽子の車は、走り出した。
「どこにいくの?」
 あたしは、なにも知らない処女の妹が実の兄に強姦される直前のあどけなさで聞いてみた。
「中央フリーウェイ・・・」
 きんたま帽子は、金切り声をあげて、歌をうたいはじめた。年寄りにしかわからない歌だ。
 きんたま帽子が、滅亡の歌を高らかに歌っている間、あたしの灰色の電子頭脳は、ぐるんぐるんと事態を分析していた。
 その一方で、ふと、きんたま帽子の股間をみると、フランクフルト王子が、怒りの形相で、露出している。
 車の振動と一緒にフランクフルト王子もぶるぶる動いている。
 あたしは、思わず王子の顔をマジックで書いてみたくなった。
「王子、あたしをどこに連れて行くのですか?」
 フランフルト王子は、からだを振動させながら、わらっている。
 今日はドライブ日和だ。あたしは、中央フリーウェイひたはしるきんたま帽子のレイプ魔の横顔をのぞきみた。
 欲情している兆候は見られない。
 ああ、もしかすると、そっちじゃなくて、血とかウンコとかの方かもしんない。どうしよう。昨日は、キムチ牛丼を食べてしまたから、香りも味もひどいウンコになることは確定だ。
 突然の通り魔でも、お客の期待に添えないのは、あたしは自分で自分を許せない。神様、きんたま帽子さんが、スカトロじゃありませんように・・・
 あたしの恐怖をよそに、きんたま帽子は、富士山に向かってひた走る。
 富士山のあたりには、樹海というのがあって、賢い殺人鬼は、必ずそこに死体を放置しにくるらしい。
 きんたま帽子が、斎藤清六のような歌い方で、スニーカーブルースを歌いだした。ああ、きっと悲しい思い出を捨てにきただけなんだ。あたしは直感した。
 車は、いつの間にか高速道路を降りようとしていた。
 あああああ、富士山の樹海が目の前に広がっている。

 さあ、これから探検だ。

 きんたま帽子は、車をするすると樹海を横断する道路にいれてゆく。
 ああ、ここが、有名な樹海なんだ。あたしは、樹海の奥から流れてくる霊のカオリにくらくらした。
「樹海でなにすんの?」
 あたしは、勇気を出してきんたま帽子に聞いてみた。きんたま帽子はなにもいわずに、カーナビにDVDを突っ込んだ。DVD再生できるやつってはじめてみた。
「おお、これでDVD再生できんの?すごーい。お金もち」
 でも、DVDで再生されたのは、アダルトアニメだった。ヤバイ!ヤバすぎるぜ! メイドのかっこした女が、ひたすら「ちんぽ」とかいってる。
 あたしの灰色の脳細胞が危険をつげる。
 メイド = 冥土 ・・・
 こいつは、やはりあたしを殺して樹海に埋めるつもりに違いない。
 − 緊急警戒警報発令 −
 あたしの頭の中でわうんわうんと赤いライトがぐるぐる回ってサイレンが鳴り響く。なんて、うるさいんだ。
「ちょっと、ボリューム下げてよ」
 あたしは、自分の頭の中のサイレンがうるさくて、思わず口走る。
「はあ?」
 きんたま帽子は、あきれた顔をしてあたしを見た。ちくしょう。心の叫びを口にしただけで、バカな女と思われてしまったぜ@いけないオンライン。
 あたしは、羞恥心で顔を赤らめる。まるで、処女みたいじゃない! ああ、でも、処女と違っていまのあたしのおまんこからは一晩おいた熟成した香りのザーメンが、とろとろしている。
 なんとかしなくっちゃ!
 あたしだって、もうお年頃だ。マンガ家のアシスタントなんかしている場合じゃないのだ。とっとと結婚するなり、就職するなりしなくては、おちおち家でテレビもみていられないぞ。
「うあああああああ、しまった。今日、アシスタントいく日じゃないか!」
 あたしは、突然、大事な記憶を思い出した。今日はお仕事の日だ。
 仕事をせんとメシが食えないぞ。あたしは、パニックになった。富士山の樹海でひとごろしのきんたま帽子とランデブーしている場合じゃないのだ。
「悪の枢軸野郎」
 あたしは、きんたま帽子を罵倒した。
「全部、オマエのせいだ!」
 あたしは光速できんたま帽子を罵倒しつつ、突き飛ばした。
 きんたま帽子は、あたしのスペクタクルな不意打ちをくらって、クルマから転げ落ちた。すかさずあたしも飛び降りる。ふらふら立ち上がったきんたま帽子めがけて、左足を踏み出す。
「アチョー」
 あたしの唇から怪鳥音が響いた。腰のひねりを生かした必殺の後ろ回し蹴りがきんたま帽子野郎の顔面に炸裂した。
「あびぶー」
 高木ブーが北斗の拳をくらったような情けない声をあげてきんたま帽子は吹っ飛んだ。
 きんたま帽子は観念して涙を流している。じじいの涙はきれいだぜ。
 あたしはハードボイルドな視線をきんたま帽子に投げる。きんたま帽子はあたしの足元にすがりついてきた。
「わかればいいんだよ」
 あたしはちょっと低い声でまとめながら、この位置だと熟成したザーメンの匂いが届いちゃうかもね・・・と思った。

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